つぶやく、うそぶくなどは想像に難くないSNSに代表されるような、現代の頼りない発信になぞらえ、そこから裏返した形あるものを表現するつもりで書き始めたはずだったのだが、いざ書き上げていく段階になると、自分でも不思議なくらい意味が裏返ってしまった、不可思議な出来事を今でも覚えている。
作曲を始める段階で出てくるパーツは、完成して初めて、ここだったのか、ということが自分には多いのだが、出来たきっかけは「出会ってしまったんだ」のワードからだった。自分としては、比較的珍しいパターンではあるが、結果的にそこは一度聴けば一番重要だとわかりやすく、しかも素晴らしい意味でしかないフレーズになっていた。
その経路自体が、そもそも自身の画面越しの活動とよく似ていること、も、今楽曲が「SCREEN」の冒頭を飾るのにふさわしい理由であることも付け加えておきたい。そもそも、はじめから輝かしい意味で書いたのであれば、出会って「しまった」とは書かなかったろう。自分事ではあるが、滋味深い。
と、精神的な部分がメインになってしまったが、サウンドとしては明白で。リードとしてエレキを入れることも考えたが、楽曲の特性を考えると旋律以上にリズムを立たせられるアコースティックギター、に限定し、ベースとドラムが入った、単純なものとなっている。今作に総じて言えることでもあるが、歌唱メロディーのみを引き立たせる為に、逆説的にコーラスも取り入れないことにした。
「結果的」に、まっすぐであり、直線的な仕上がりが、何度も言うが、自身の画面越しの活動とマッチしていて、ほんの少しの余白が残っていることも含め、とても気に入っている。言うまでもないことだが、大切なのは「結果的に」というところ。「SCREEN」という作品を発売する未来など、まったく描いていなかったものだ。